前回はこちら 壁一面の本棚をDIYで!(05) -組立編2-
前回、やっと仮組にたどり着きました。
仮組で問題ないことを確認したら、一旦ばらしましょう。
棚板の接着(1)
側板と棚板を木工ボンドで接着します。
本の重さは相当です。これから何十年それに耐えてもらわねばなりません。
接着強度は面積に比例するので、「もうはみ出すほど塗って、はみ出したのをふき取る」事にします。
おっと。接着剤(とこの後の塗装工程)で、床を汚してしまうかもしれません。念のため床に段ボールを広げるなどして、養生しておいた方がいいでしょう。
私の作業場は寝室(泣)なので、これ必須です(さらに泣)。
はみ出た木工ボンドをふき取るのに「水の入ったバケツ」と「ウエス(雑巾)」を用意しておきます。
棚板にこんな感じ(一本線)で木工ボンドを塗ります。
指で塗り広げます。ヘラとかでもいいんですが、指の方が早く・綺麗にできます。
塗り広げた後、すぐに指をバケツの水で洗い、ウエスで拭くと汚れ(ボンド)は綺麗に落ちます。
塗り広げる前に、あらかじめ指を濡らしておくと、もっと効果的です。
個人差もありますので、指はいやだという人はヘラを使ってください。
ここから、ボンドが乾く前に作業を終えねばなりませんが、速乾性ではないのであわてる必要はありません。
ボンドを塗った棚板を、側板に正しい位置と向きで付けます。
注:ボンドで棚板のネジ穴が見えないので、側板にネジを手で刺したら、ちょっとネジを手でグリグリ動かして、棚板の下穴を見つけてください。ネジ先端が下穴に入った手ごたえがあったら、最後まで締めあげてください。
木ネジを締めると、棚板が密着して、ボンドがはみ出します。
はみ出したボンドを「たっぷり濡らしたウエス」でふき取ります。
ココがポイント
側板に引いたペンシルの線とずれていたら?
「はみ出たボンドをふき取ってみたら、線とずれていた」なんてことはよくあります。
しかし仮組したときに正しい位置に補正できることは判っているので、ネジをちょっとだけ緩めて棚板を正しい位置に動かします。そしてまたネジを締めます。
ボンドはまだ乾いておらず、必要な量は残っているので、問題ありません。
ココがポイント
同様に側板・棚板の木口に段差が無いように「ツライチ」に調整しましょう。特に表は本棚の顔なので。
棚板1枚ずつ、上の作業を繰り返します。
これで側板1枚に棚板が付いた、巨大櫛(くし)になりました。
棚板の接着(2)
次にこの「巨大櫛」に、もう一方の側板を付けるだけなんですが、もう棚板一枚ずつの作業はできません(合体してるからね)。
この作例(写真)の場合、9枚の棚板が同時進行になります。
上述した通り、ボンドは速乾性ではないので、あまり急ぐ必要はありませんが、同じ作業の繰り返しなので、手際よくやりましょう。
全棚板に(一本線)で木工ボンドを塗ります。
全棚板のボンドを塗り広げます。
側板を正しい位置に置きます。(乗せるだけですがボンドはもうはみ出しているでしょう)
側板にネジを手で刺します。同様に、棚板の下穴を見つけてください。
そしてネジ締めです(全箇所)。
はみ出たボンドを「たっぷり濡らしたウエス」でふき取ります。
ココがポイント
側板の線とずれ調整、木口のツライチ調整は同様です。
背板
背板は「壁一面の本棚をDIYで!(02) 設計編」で述べたように、ベニヤ板です。
この作例で、私は厚さ4mm(正確には3.6mm)を使ってますが、2.5mmを使うこともあります。
背板が本棚からはみ出すとカットが面倒なので、完成寸法から全周1mm小さく、つまり縦横とも2mm小さく切ります。
(ホームセンターなど買ったところでで切ってもらうか、少々頑張れば家でカッターでも切れます)
これも同じく木工ボンドで貼りますが、固定はビスではなくクギにします。
クギは指でつまめる最小サイズでいいので、小鋲(こびょう)13mmです。
(使いやすいサイズでいいですが、斜めに打って棚板から先端が突き出ても嫌なので、長くても20mm位までをおすすめします)
【準備】
背板を置くと(当然ですが)棚板が見えなくなるので、クギの位置決めのため、背板に棚板の位置を描きます。
1. まず正しい位置に背板を置き、横方向に数センチずらして、少しだけ棚板を見えるようにしたら、背板に棚板の位置を記す。
2. 背板を反対にずらして、同様に背板に棚板の位置を記す。
3. 背板に付けた印同士を直線で結ぶ(定規は端材を使う)
4. 縦(側板)も同様
【貼る】
本棚側(棚板+側板)に、木工ボンドを(一本線)で塗ります。
これは塗り広げません(あまりはみ出すと、背板はボンドの拭き上げが面倒なので)。
次に背板を本棚の正しい位置に置きます。
全周、背板が本棚からはみ出してないことを確認したら、一番端に1本目のクギを打ちます。
後は、図を目安にクギを打っていきましょう。
その時、背板が浮かないよう押さえて、木工ボンドの厚みをつぶしながらクギを打ちます。
クギの位置は(どうせ見えないし)目見当で4等分でいいでしょう。(適当っすね)
【ふき取り】
背板も棚板同様に、はみ出たボンドを「たっぷり濡らしたウエス」でふき取ります。
ボンドを塗り広げてないので、それほどはみ出さないですが、それでもはやりはみ出ます。
そういえば説明してなかった。はみ出た接着剤をふき取るところは、入隅(いりすみ)ですので、指・ウエスが届かずふき取りにくいです。
ウエスの上から、先の細い何かで角を狙うとふき取りやすいです。(写真はポンチです)
できましたね。
ここは「おお、やっと本棚になった」と一区切りついて、しばし感慨に浸っていいところです。
木栓
それではこの章の最後です、ネジ穴を処理しましょう。
壁一面の本棚をDIYで!(04) -組立編1-
で説明した、いくつかの方法の何れかですが、この作例は「木栓」です。
板を設計寸法で切り出した残り、「端材」が役に立つときです。この端材から木栓を作ると、同じ板材なので、見た目のなじみは最良になります。
埋木錐で端材を切ると、材厚と同じ長さ18mmの木栓ができます。直径はΦ10mmです。側板の穴もΦ10mmなのでぴったり寸法。
穴も木栓もΦ10mmなので、そのままでは入れにくいので、木栓の先端を金づちで叩いて少しつぶします。
木栓の先端(つぶしたところ)に木工ボンドをたっぷり全周に塗ります。
※ここも木工ボンド工程なので、「水の入ったバケツ」と「ウエス(雑巾)」を用意しておきましょう。
側板の穴に木栓を差し込みます。
注意点:木材の繊維方向はそろえておきましょう。木栓をよく見ると(板から切り取ったので)板の繊維方向が判ります。それを側板の繊維方向(長手方向)とそろえると一体感が増します。
金づちで木栓を打ち込みます。ネジ頭が材厚の半分9mmの位置にいるので、木栓は半分ほど入ったところで止まります。
ボンドが大量にはみ出ているので、「たっぷり濡らしたウエス」でふき取ります。
これは、単にボンドをふき取るだけではなく、木の細胞が水を吸うことで膨張して、完全に隙間をなくすという効果もあります。
次にはみ出た木栓をツライチで切るのですが、完全に乾燥しないと切り口が荒れますので、
2, 3日放置しましょう。
本棚に木栓が生えているのを見れるのは今だけです。
【乾燥後】
数日が過ぎ、乾燥したら木栓をクラフトソー(「アサリがない」ノコ)で切ります。
コツは「とにかくクラフトソーを側板に密着させる」です。反らせてソーのバネ性を利用します。
アサリが無いとはいえ刃ですので、ソーを立ててしまうと側板に傷を付けてしましますので、気を付けましょう。水平で密着です。
切ってる途中
切れた!
これが・・・こうなる!
この工程、うまくいくとたいへん気持ちがいいものです。
もし段差が残ったり、傷が生じたりしていたら、次の工程(やすり)で何とかリカバリーしましょう。
さてさて。これで、部屋と本にぴったりサイズで、人が登っても壊れないほど強固な本棚の本質は完成です。
後は「見てくれをよくする」作業が残ってます。
DIY作品として、綺麗に仕上がったら愛着もひとしおでしょう。しかも実用的で何十年ももつのですから。
ということで、次回はやすり掛けと塗装の話です。