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壁一面の本棚をDIYで!(07) -塗装編-

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壁一面の本棚をDIYで!(07) -塗装編-

前回はこちら 壁一面の本棚をDIYで!(06) -組立編3-

前回までで、組み立ては完了しました。
完成まであと少しです!
今回は最後の工程、やすり掛けと塗装の話です。

やすり掛け

やすり掛けのポイントは以下の3つです。

  1. 角の面取り
  2. 木栓(またはパテ)を面とツライチ化
  3. 板の表面の研磨

塗装前のやすり掛けは必須です。特に1が重要ですね。

ポイント

色々種類がありますが、一番安価な「紙やすり」でいいでしょう。耐水ペーパーや布やすりである必要はありません。
番手(目の粗さ)は、紙やすりの240番がいい感じです。120番、320番を使うこともあります。

やりやすい方法で構わないんですが、私は紙やすりを4等分し(7cm幅になる)、木片に巻いて使います。やすりの目が詰まってきたら、まっさらな面に変えます。
紙やすりは詰まりやすい・破れやすいですが、安価なので惜しまず使えます。

紙やすり四等分 紙やすりを木片に

使用後の紙やすり

では、目的と方法を順に説明します。

1. 角の面取り

板材は切っただけなので、全ての断面が90°でエッジが立っており、「バリ」とか「ささくれ」もあって、持つとちょっと手が痛いんです。

板断面

これを角を落とす感じでやすり掛けをします。
作業すると実感しますが、触った感じが全然変わります。

板の面取り

やりかた : 板の辺に紙やすりをおよそ45°にあて、数往復する。面取りで落とす量はお好みですが、ちょっと角が取れればいいくらいです。
小さい寸法なので、やすりの角度45°も、目見当で全く問題ありません。

やすり45°

粉が出る

削った粉が大量にでますが「フッ」って吹くと、部屋に舞います。私はやすり掛け時はそのままにしておき、何十センチかに1回、掃除機で吸います。

粉を除去後

面取りでやする箇所は「全ての稜線」なので、結構多いです。作業忘れが無いようにしましょう。

2. 木栓(またはパテ)を面とツライチ化

前回 壁一面の本棚をDIYで!(06) -組立編3- で、「木栓をツライチ」で切りましたが、まだ段差が残っています。
凸部を完全になくなるまで、(板と同一面になるまで)やすりをかけましょう。
※当作例ではやってませんが、もしネジ穴をパテでふさいでいたら、その盛った部分も同様です。

木栓やすり前

これで完全にフラットになり、より木栓が目立たなくなり、一体感が増します。

木栓やすり後

※それと、もし木栓を切るとき、ノコの刃で傷つけてしまったら、やすり掛けで目立たなくしましょう。
傷が浅ければ、消えます。

3. 板の表面の研磨

使う木材にもよりますが、作例の「パイン集成材」は表面が比較的きれいですので、さほどやすり掛けの必要性を感じません。
しかしはみ出たボンドのふき取りで水がついたところは、木の繊維が水を含んで、毛羽立ちます。(ざらざらする)
これらは、軽くなでる程度のやすり掛けであっという間に「するする」の手触りになりますので、やっておきましょう。

それと背板はベニヤ板ですので、表面は荒れています。ここはやすり掛けをやっておかないと、後の塗装(ニス塗り)で難儀しますので、必須です。
これも数往復すると「ざらざら」→「するする」になりますので、手触りを確かめながらやりましょう。
背板の表(本が入る側)は必須ですが、裏側はやらなくても誰も困りません。
(私は放置です。全方位完璧に仕上げたい人はドーゾ)

棚板やすり 背板やすり

やすりのかけ忘れが無いかチェックしましょう。特に「1. 角の面取り」は削るべき稜線(辺)が50以上あるはずです。
OK? 完成後見える全範囲、触れる全範囲がするするになりました。

しかし、このままではやすりの削り粉まみれです。固く絞ったウエス(雑巾)で粉をふき取りましょう。

ウエスでふき取る

では次はいよいよ最終工程の塗装です。

塗装(1) 何にする?

塗料は種類が多く、どれを使うかで全然違った感じになりますし、作業も変わってきます。

  • スプレーにするか/刷毛(筆)塗にするか
  • 油性塗料か/水性塗料か
  • 浸透か/造膜か
  • 色付きか/透明か

まあ選択肢の多いこと。

スプレーにするか/刷毛(筆)塗にするか ・・・ 屋内で作業するなら、刷毛塗り一択。
スプレーは周りに飛び散ります。

油性塗料か/水性塗料か ・・・ 屋内で作業するなら、ほとんど匂いがしない水性塗料一択。
油性は有機溶剤の芳香により同居者とのトラブル必至! それと、油性はペイント薄め液で刷毛を洗ったり、後片付けもたいへんです。
作っているのは本棚です。屋外で使うような高耐候性に全振りの油性塗料は不要かと。

浸透型か/造膜型か ・・・ 私は造膜型にします。
浸透型はその名の通り木にしみ込んで着色します。ステインなどです。ムラも生じないので、木目を活かしたきれいな塗装ができます。木の表面の保護能力はありません。
造膜型はペンキやニスの類ですね。浸透型の逆で、木の表面に膜を(塗膜を)作って木を守ります。着色した不透明な塗料なら木目は消えます。透明だと膜を作るのみで、木目は残ります。
それと本棚に積もりがちなホコリは、造膜型の方が、積もらない&取りやすい、です。

色付きか/透明か ・・・ 木目を残したいなら透明ですね。同じ造膜型で着色ニスは色付きですが、やはり重ね塗りすると木目は目立たなくなります。よって作例がパイン集成材なのでわたし的には「透明ニス」が最適となります。

透明ニスを塗ると木目が濃く浮き出てきます。
2つ前の写真でお気づきの方もおられましょうが、濡れたウエスで木を拭いたら、木が濡れている間は木目が濃くはっきりと出ます。

【何でか?】

無塗装の乾いた木は、表面の微細な繊維で乱反射して、全体に白く見えます。くもりガラスが白いのと同じです。
それに対し、濡れるか透明ニスを塗ったものは、水や塗膜で表面が平滑になり、乱反射がなくなるので、その下の本当の色・模様を正確に出すのでしょう。くもりガラスに水をたらしたりセロテープを貼ったりしたところが透明になり、向こうが見えるのと同じです。

液晶モニターに例えると、無塗装の乾いた木が「ノングレア液晶」です(光を乱反射させるためにモニター表面に微細な凹凸があります)。これによって発色が薄く、コントラストが低く、画面が締まってない画になります(黒が浅い)。
これに対し、透明ニスを塗った木は「光沢液晶」です(表面がとても平滑)。
そのため、鮮やかな発色、引き締まった黒できれいな映像となる、って感じ。

木・くもりガラス・液晶、これらの現象は同じ原因で、それは「表面粗さ」の差なのです。

前置き長かったですか?・・・では塗装しましょう。

塗装(2) 1回目

【塗料】
上の項で、本棚の塗装に「透明な水性ニス」をチョイスしました。
それだけを決めて、ホームセンターで物色です。同じカテゴリーの銘柄の差は調べていません。
ただ、本の出し入れでこすれて剥げたり傷ついたりしないよう「高耐久・水性ウレタンニス」にしました。(カンペハピオ製)
私の最初のDIY本棚が2011年製で、以来ずっと同じものを使用していますが、全く問題ありません。
※アクリル系塗料はべたつきが残るものがあるようです。ウレタンニスはサラサラになりますので本棚にはこちらがおすすめです。

【刷毛】
刷毛は水性塗料用にしましょう。使い終わった後、手入れを怠らなければ何度でも使えます。
広い面積用に幅50mm、木口など細いところ用に30mmなどと、大小2本用意しておけばいいでしょう。

ニスと刷毛

【作業環境】
例によって私の作業場は寝室ですので、塗料で汚さないように床に段ボールを敷きます。
木工ボンドの時と同様に「水の入ったバケツ」と「ウエス(雑巾)」を用意しておきます。

段ボール+バケツ

【実作業】
最初に注意点ですが、

  1.  床と水平になった面だけ塗ります。不精して垂直面に塗ると、乾くまでの間に塗料が垂れてきます。著しく美観を損なうのでそれはやめましょう。塗った後、次の面に移る時本棚の向きが変わりますが、それはOK。(塗りすぎてなければ)
  2. 一度に大量に塗る(厚塗り)はNGです。乾きは遅くなり、垂れたり汚れたり、いいことありません。
  3. 天井側などで2回(以上)、底面側面などは3回(以上)重ね塗りします。
  4. 塗装は一発で塗るようにして、塗ったところは刷毛であまりいじらないほうがいいです。刷毛の抜け毛など取らなくても構いません。(後述)

塗料は使う前によく攪拌せよ、とか注意事項がいくつかありますので、塗料の取説はよく読んでください。
最初は塗料を木がよく吸い込みますので、この作例のサイズでは塗料1本では足りません。

どの面から塗装を始めてもいいですが、一番目立たない天井側なんてどうでしょう。本棚をひっくり返して天井側を下にして全棚板を塗装します。
1回目はよく吸い込みよく乾きます。
※塗ってない面に垂れてないか、必ず確認しましょう。垂れていたらふき取ります。

ニスを塗る

次にどっち方向でもいいですが塗装したばっかりの面に触らないよう気を付けて90°倒します。そして水平になった面を塗ります。
塗り終わったら、別の面を塗るため、90°倒します。
塗ります。

これで3面塗りましたが、これ以上は塗ったばっかりのどこかの面を下にしないと出来ませんので、一旦休止。塗料ラベルの説明通りの時間放置しましょう。

背板にニス

塗装が乾いたら残りも同様に塗り、乾燥させます。(裏も塗るなら残り3面。裏は塗らないなら残り2面。 私は塗りません。裏側は壁に付けるだけなので外観とみなさず)

最初の3面で、(乾燥のため)一旦小休止となりますが、刷毛は放置していると固まりますので、私は洗います。
水性ニスなので、水洗いです。刷毛から塗料が流れでなくなるまで、よく洗い・すすぎを行います。
水洗い → 台所用中性洗剤+たわしでごしごし → すすぎ
よく落とさないと固まります。逆に言えばよく落とすと刷毛は何度でも使えます。

刷毛を洗う

塗装(3) 2回目以降

塗装が乾いたところで面を触ってみるとけっこうザラザラです。
これは木の繊維が塗料を吸って毛羽立ったまま固まったんですね。
それと刷毛の毛やホコリなども付いたまま乾燥したところもあるかもしれません。
安心してください。
2回目を塗る前に、紙やすり320番位で軽く表面をこすると、あら不思議。スベスベになります。
たいていの毛やホコリも塗膜から剥がれ、消えていきます。
この「重ね塗りの前に軽く研磨」がとっても重要です。
ぜひやりましょう。
もう塗料で固まっているので、以降は塗ってもほぼ毛羽立ちません。

塗装2回目以降は、木が塗料を吸い込む量がぐっと減るので、刷毛1回分の塗料で塗り広げる面積が増えます。(使う量も少なくなります)

塗装後の棚板

これを1回目同様、3面×2回で、2回目終了です。
満足するまで、重ね塗りを繰り返します。
私は棚の天井など本が触れず、目にもつかない場所は2回。
本が乗る棚板上面、外観の印象が決まる側面などは3回か4回。と塗分けています。
ここはお好みで。

なお、2回目以降も重ね塗り前には軽く紙やすりで研磨しましょう。

色付き塗料の場合、塗りムラが色ムラが出たりしますが、透明ニスは全く色が無いので塗りムラになりようがないのが利点ですね。

【インターミッション】

自己満足するまで塗り重ね、乾燥した「新品」の本棚が目の前にあります。
設計、加工、組み立て、塗装を全て自分でやった、公約数的な工業製品ではない、自宅の天井高さや蔵書の都合に合わせた、自分のためだけにある本棚です。
ここは達成感と満足を味わっていいところ。
これまでの道のりを反芻しつつ、しばし眺めていましょう。
お酒が好きなら、本棚で一杯行けます。

組み立て・設置

さて、いよいよ最後の作業。設置場所まで持って行って、本棚を積んで天井ぴったりに納めなくてはなりません。

天井までの本棚であれば、積み重ねます。今までの作業は全て一人でできましたが、本棚を積む作業だけは一人では困難です。しかも完成寸法が天井に対し数ミリ低いだけなので、上段を余分に持ち上げる事もできませんし、斜めではつっかえます。
最後は家族や友人に手伝ってもらいましょう。

作例では下段が小さく上段の方が大きい、普通とは逆の本棚ですので、余計にめんどいんです。

【方法】

1. まず上段を天井に押し付けるまで持ち上げる。
2. その下に下段を滑り込ませる。
3. 上段を下ろし、下段の上に乗っける

組み立て

4. 本棚上下の位置を合わせる
5. ねじ止め

連結ネジ2

ネジによる連結は 壁一面の本棚をDIYで!(05) -組立編2- で説明しています。
本棚は重たいので、ネジ締め程度で動くこともありませんので、一撃です。
なお、乗せるだけで(ネジ締めなくても)動かないかもしれませんが、地震など万一のことを考えると、した方がいいと思います。
横にもつなげて「壁一面本棚」にする時も同様です。

総括

これで、完成です。
組立前に一杯ひっかけてたら、ここでもう一杯いってもいいでしょう。
または喜び勇んで部屋にあふれている蔵書を詰め込む方が優先度が高いかもしれませんね。

私が本棚1本目を初めて作った時、「こんな大きいものがDIYでできるんだー」と感慨ひとしおでした。
ググって知った先人の作り方を参考に、これならできそうとほぼ確信をもって始めましたが、それは実際に出来上がった時の感動や達成感をいささかも削ぐ物ではありません。

主な参考サイト

清く正しい本棚の作り方

壁一面の本棚の作り方

この記事の1本目 壁一面の本棚をDIYで! (01) にも書きましたが、市販の本棚はどうにも使い勝手や寸法に不満があって、どうしようかと思案していたところに出会ったこれらのサイトの記事が背中を押してくれなかったら、本棚を(その後のそれ以外の作品を)作っていたか判りません。

私は木工について素人ですので、難しい技法は知らず、工具も安いものを最小限しか持ってません。
これまでの7本の記事で本棚の設計から完成まで、私なりのやり方を説明してきましたが、7本もかかっているので確かに工程は長いんですが、その一つひとつのステップは難しくない。どうにかなる範囲です。

参考サイトなどの先人たちの知恵に、私なりの工夫がプラスされた本棚です。
素人ゆえ木工のセオリーやら効率のいい作り方などよく知りませんが、なんせ本棚は出来てます。
私はそれで良しです。
この記事が、次の誰かの背中をちょっとでも押せたらいいなと願いつつ・・・

終わり

 

 

・・・にしようかと思ったんですが、記事から取りこぼした tips集 をあと1回やりますので、しつこく
つづく(次が最終回)

壁一面の本棚をDIYで!(08) -Tips-

 

<参考>
浸透型+造膜型の合わせ技もいいですよ。
下の例は自作レースゲームコクピットの天板で、本棚と同じくパイン集成材を使ってますがそのままでは白すぎるので、

  1. まず浸透型の「水性ステイン」で着色して(木目は活かす)
  2. その後に透明ニスを塗って仕上げています

ゲーム天板 ハンドル付近

ではまた。

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