前回はこちら 壁一面の本棚をDIYで! (01)
では、壁一面本棚の具体的な設計に入りましょう。
1. 材料の選定
何の板で作るかは、初期に決めておきましょう。材料によって板厚が決まっていますので、実際の寸法を決める(設計)の要素になります。
先に紹介したサイトの例
「清く正しい本棚」は「シナ合板(シナベニヤ)ランバーコア材」の材厚t=21mmですね。
「壁一面本棚」は「パイン集成材」で材厚はt=18mmです。
私は以下に説明する特徴から、「パイン集成材」としました。
※材料の説明はじめると進まないので、詳細はググって(;^ω^)
選定の際、私は棚板に木目を残したかったのでパイン集成材にしました。
それと、本棚に本を詰め込んだ後、本棚で一番見えるところは、板の厚さ(つまり切断面、小口)となりますが、その切断面も綺麗ですね。
パイン集成材に透明ニスで仕上げすると、たいそう綺麗です。
本棚としての耐荷重はどちらも十分でしょう。お好みでどうぞ。
2. 寸法の決定(高さ・奥行き方向)
まず本棚を置きたい場所の天井までの高さを測ります。
意外と天井までの高さはまちまちですので、数か所で測りましょう。
これから作る本棚は、それより数ミリ小さくします。きっちりだと設置できませんよ。
これで本棚の全高が決まりました。
次はそれをどう配分するかですが、これは今現在の蔵書から比率を計算します。
冊数ではなく、物理的な占有率で行きましょう。
今の(市販の)本棚で、雑誌(大)が幅180cm、雑誌(小)が100cm、ハードカバー本が200cmとか。
あるいは棚板単位で3枚分が雑誌(大)、2枚分が雑誌(小)、4枚分がハードカバー本とか。
これをもとに棚板のピッチと、そもそも何段にするかを決めていきます。
本棚を並べない、または棚板の位置が隣とそろってなくていいなら、さほど神経質にならなくていいです。
ハカマ
本棚の最下段にはハカマ(台輪?)を設けましょう。最下段の上げ底です。見た目がよくなるし(これがないとカラーボックスみたい)、掃除機やつま先などがうっかり本に当たるのを防ぎます。
とはいえ本だけでギリギリ寸法の時は、ハカマを略したこともあります。
実際の設計
私の例です。
高さ寸法
部屋の天井までは2405mmありましたので、本棚の全高は2400mmとしました。
これを上下二段を組み合わせた本棚にします。
本は意外と異なるサイズが多いので、分類をむやみに細分化しないほうがいいですよ。 それとあまり攻めた寸法でキツキツにしないほうがいいでしょう。
私の場合、文庫、新書版、B6版までを同じピッチにしました。B6=182mmなので、棚の高さは187mm。他も同様。
奥行き寸法
前に紹介した「壁一面の本棚」のアイデアが素晴らしいので、マネします。
下に大きい本、上に小さい本、それぞれの奥行きを最適化して、カウンター状の段差を設けます。
下に大きい本を入れるのですが、(数冊しかない特殊なサイズは無視して)手持ちの本の横幅最大は237mm(A4変形)でしたので、奥行き250mmとします。
上の段はハードカバー、コミック、文庫などを入れます。こっちは170mmとします。この差がカウンターになります。
これで天井まで10段の本棚となりました。
この辺の寸法は足し算引き算だけですので手計算で可能ですが、たっぷり試行錯誤するなら表計算ソフトがいいでしょう。(EXCELとかOpen Officeとか) 同様に図面も直線だけですので手書きで十分ですが、CADのほうが楽だったりします。
3. 寸法の決定(幅方向)
幅方向は高さ・奥行きよりも決めるのは簡単です。
考慮する要素は、カットする前の材料のサイズと本棚を置く場所の幅です。
カットする前の材料のサイズ
シナ合板もパイン集成材も、サブロクというサイズにしましょう。
3尺×6尺でサブロク。910mm×1820mmです。つまりだいたい畳サイズ。
板は小さいほど単価が割高になりますので、サブロクからうまいこと端材を余り出さずに切る(切ってもらう)とコスパが良くなります。
ただし「んじゃ、棚板1820mmにするよ」というのは止めましょう。本の重さできっと真ん中がたわみます。つーか、組立と塗装行程でかなりいろんな向きにしますので、その寸法無理ですね。
現実的には1820mmからならば、棚板幅900mmを2本か、600mmを3本ですね。
私の作例では大体600mmで作っています(上記図面参照)が、大きくてA5コミックまでのヤツは900mmも実績あります。
本棚を置く場所の幅
置く場所が広い場合、複数の本棚をつなげて置きましょう。
その時全部の本棚を等間隔にするか、最後の1個の本棚の幅でだけ調整して、残りの本棚は上記の合理的な900mmか600mmにするという手があります。
私は後者です。
4. 木取り図
ではサブロク910mm×1820mmから切る寸法を決めましょう。
そういえば書いていませんでしたが、板は買ったところ(ホームセンターなど)で切ってもらいましょう。逆に言えば、切ってもらえるところで買いましょう。パネルソーで、ものの数分で切ってもらえるはずです。 だから「ノコギリ(手ノコ)でうまく切れないんだよねー」などの心配無用です。 難しくないと書いた最大の理由がこれ。
集成材は長手方向に強度がありますので、棚板は必ずその方向にそろえましょう。
サイズと段数にもよりますが、私の例では全材料がサブロク1枚にはおさまりませんね。
1. その場合、2枚目のサブロクの残りは、次の本棚の棚板等に回すという手があります
2. または、パイン集成材はいろんなサイズを売っているので、ちょうど良いのから(あまり端材が出ないように)切り出す手もあります。
ノコの刃の厚み分が「おがくず」となって消えます。寸法合計がサブロク910mm×1820mmを超えないよう配慮しましょう。(板と板の間は3~5mm消えてなくなる計算で)
5. 背板
背板の機能はもちろん、押し込んだ本を受け止めるのですが、それ以外に「背板がなければ本棚は平行四辺形にゆがむ方向に弱い」です。
カラーボックスを背板なしで組んだらどうなるか想像してください。
とはいえ、板厚18mmが何段もがっちり止まっていますので、背板がなくても実際には上図のようにはなりませんけどね。
背板は本棚外寸から全周1mm程度小さめにします。上段・下段本棚に各1枚です。
材料は安価なラワンベニヤでいいでしょう。私は厚さ4mmにしましたが、2.5mmでもよさそうです。
これで設計は完了です。
次は材料を買って切ってもらって、加工して、組立です。
買い出し編へ続く 壁一面の本棚をDIYで!(03) -買い出し編-